2006メジャーリーグ分析

ア・リーグ 東地 区 

ボストン・レッドソックス
 シーズン開始前から不暗視されていた先発陣は、強力打線に助けられて勝ち星こそ残したものの、全員が防御率4点台という体 たらく。しかしマーリンズからエースのベケットを獲得、来季は柱として期待される。ブルペンはストッパーのフォークの長期離脱が痛かった。ベケットと一緒 に元ストッパーのモタも獲得しているが、元々層は厚いだけにフォークが一年間健康に投げられるかが一番の問題。それさえクリア出来れば先発陣への 好影響もあるはずで、来季の投手陣はよりよくなるだろう。
 リーグ最強打線は昨季も健在で、さらにマーリンズからローウェルを獲得。昨季はスランプだったが20本〜30本は期待出来る上にゴールドクラブ賞獲得の サードでいい補強となった(昨季のスタメンのビル・ミューラーはドジャースにFA移籍)。FAのデイモンとも再契約出来る見込みで、打線もそのまま…とい いたいところだが、主砲のラミレスがトレードを志願しており、 放出ならその穴をどう埋めるのかという問題がある。ラミレスの年俸が高いこともあってトレード交渉は難航しており、シーズン開幕ギリギリまでどう転ぶか不 透明と言えよう。
 また、二遊間に関してもスタメンが固まっていない。セカンドはベルホーンをシーズン半ばに解雇、代わりにロイヤルズから獲得したグラファニーノはそこそ こ活躍したが普通の選手で、昨オフFAで獲得したレンテリアは全体的に不振でたった一年でブレーブスに放出してしまった。他のポジションに強打の選手がい るだけにここは守備だけ上手ければチームのバランスが取れるところなので、今後どのような選手を獲得するのか注目される。
トロント・ブルージェイズ
 投手陣、打撃陣ともそこそこまとまっているチームだが、今オフは大型補強でマスコミを賑わせている。先発の最大の目玉、 バーネットの獲得に成功し、サイ・ヤング賞投手のロイ・ハラディと共に二本の柱となった。今までは「ハラディしかいない」と私は分析で書いてきたが、二人 エースがいるとその他の投手がぐっと楽になる。そうなるとリリーやタワーズなどの中堅投手も含めて考えると充分な先発陣だ。さらにオリオールズからストッ パーのライアンを獲得し、今年ストッパーに転向したバティスタが先発に戻るので、20勝投手二人に10勝投手3人となかなかの陣容だ。ただ、ライアンに関 しては元々中継ぎで、ストッパーに転向したのが今年と言うことを考えるとやや危険な投資とも言える。ライアンが今年のような成績を残せれば充分な投手陣だ が。
 昨オフFAのデルガドを引き止めず小粒な打線となって繋いだ今年の打線に、ブリュワーズから一塁手のオーバーベイを獲得した。彼も中距離打者だが、一 塁・三塁・DHという3つの枠に、コスキー、ヒレンブランド、ヒスキーを含めて中距離打者が四枚。強いのか弱いのかイマイチわからない布陣だが、二遊間や 外野は守備の上手い選手で固められており、来年も繋ぐ野球となりそうだ。DHと一塁ぐらいは強打の選手がいてもとは思うのだが。ちなみに最大の弱点は捕 手。他のチームでずっと控え捕手だっだゾーンが二年連続で正捕手。ここにこそお金をかけるべきだと思うのだが、捕手の補強に手を伸ばしたという噂さえ聞か ない。
ア・リーグ 中地区 
シカゴ・ホワイトソックス
 「スモール・ベースボール」なんて格好いい言葉でいわれているが、実際には強力先発陣が一発ばか りの振り回す打線を引っ張っての優勝であった。バーリー、ガーランド、ガルシア、コントラレスの四人が14勝以上と非常に良く、打線が強ければもっと勝ち 星を伸ばせただろう。
 その為、打線にはフィリーズからトレードで大砲のトーミを獲得。今年は故障に泣いたが、健在ならFAながら残留したコナーコと共に40HRコンビとな り、下位にダイ、クリーデイ、井口、ピアジンスキーと20HRクラスの選手が並ぶ強力打線となる。一番のポドセドニックの盗塁を活かす打率のいい2、3番 が欲しいところだが(今年3割打者無し!!)、ホワイトソックスは貧乏ではないが大金持ちでもないのでこれ以上の補強は厳しいところか(なお、トーミは FAで移籍したエベレットの代わりにDHに入る)。
 しかし穴もある。トーミの獲得のため、センターのロワンドを放出してしまい、このままだとダイがセンターに回りそうだが、彼はライト・レフトとしては一 流だがセンターを守らせるにはやや守備範囲不足か。打てなくても守備だけ上手いセンターを獲得したいところだ。
 また、ストッパーがいまだに固定されていない。高津(シーズン中に放出)、ハーマンソン、若手のジェンクスの3人が起用されたが、最終的な回答は出てい ない。先発が強力なだけに大きな穴にはなっていないが、ハーマンソンは元々先発タイプなので恐らくギーエン監督は来年はジェンクスを頭からストッパーとし て固定するだろう。果たして期待に応えられるかはシーズンが始まらないとわからない…。 
ア・リーグ 西地区
シアトル・マリナーズ
 二年連続の最下位となってしまったマリナーズ。投手陣は平凡で、打線はリーグ最低という状態だ。数値を見てリーグ上位なの は守備率(二位)だけであり、打線の強化が最優先事項となる。昨オフは一塁にセクソン、サードにベルトレイを大型契約で補強、セクソンは39ホーマー 120打点でタイトル争いにも絡みお釣りが来る活躍だったが、ベルトレイは前年の48ホーマーから19本へとガタ落ち。守備では貢献したが、来季は最低で も30本は打って欲しいところだ。ライトのイチローは『彼としては』絶不調でキャリア最低の成績と言ってよいが、来季はこれよりは上積み出来るだろう。セ ンターのリードとショートのベタンコートの二人の若手は目立った成績は残せなかったが、来季もチームとしてはポジションを与える模様で、280に20ホー マーのイバネスがDHと考えると補強ポイントは捕手・セカンド・レフトとなる。
 その捕手には城島を獲得。どこまでやれるかは確かに未知数だが、ウィルソンが引退、2004シーズンにガルシアを放出してまで獲得したオリボが期待外れ で既に05シーズン中に放出しており、全く誰もいない状態であることを考えれば多少もたついても故障さえなければスタメンは保証されるだろう。さらにチー ムとしては打撃への期待が大きいようで、例え280に20本70打点ぐらいでも今年一番マスクを被ったトレアルバが241に2本8打点で会ったことを考え れば大きな上積みだ。外野手としてはエバレットを獲得。守備力が高い選手ではないのでイバネスとDHを分け合う形になるだろうが、下位打線としては充分な 打力だ。城島・ベルトレイ・セクソンでクリーンナップを組み、6、7番にイバネスとエバレットいう打線は今年よりぐっと改善されるだろう。そうなると城島 とベルトレイの打撃次第となりそうだ。セカンドは取りあえず守れれ ばいいと言うことで補強は後回しか。
 平凡な投手陣はストッパーはガダードがおり、マテオ、プッツと中継ぎも充実しておりベテランの長谷川とは再契約を見送る程の充実ぶり。よって 先発をどうするかという話になる。
 後半から先発に定着したフェリックス・ヘルナンデスは全米注目の若手で、既に大物選手とのトレード希望の申し込みが殺到している程の選手だが、当然マリ ナーズは来季は開幕からローテーションを任せる予定。FA残留したモイヤー、昨季は故障がちだったピネイロも当確として、残り二枠が埋まらない。中堅のメ シュは 10勝したが防御率は5点台で良くて先発5番手だろう。一人は15勝クラスの先発を補強したいところだ。そうでないとまたしても本来中継ぎのフランクリン がローテに入ることになってしまう。故障者が出た時の 穴埋めとしてはいいが、彼が昨シーズンのように一年を通してローテに入るようでは厳しいシーズンとなるだろう。

ナ・リーグ 東地区
ニューヨーク・メッツ
 先発はほぼ盤石。昨オフレッドソックスからFAで獲得したペドロ・マルティネスは期待通りの活躍で、ブレーブスから移籍後 は不振だったグラビンもそれなり。若手の徐も先発14回で8勝と来季は大きく期待出来る。ザンブラーノとベンソンは負け越したものの防御率は悪くなく、打 線の援護さえあれば勝ち越せるだろう。先発は5人いるわけで基本的に補強の必要は無し。問題は昨年不在だったストッパーだが、160キロ左腕のメジャーを 代表するストッパー、ビリー・ワグナーをFAで獲得。多数の故障者がなければ投手陣はほぼ盤石だろう。
 打線は穴が大きく目立つ状態だ。ショートのレイエスは盗塁王、サードのデビット・ライトは3割27本100打点と若手有望株が見事に育ち、レフトのフロ イドは昨年の不振から立ち直って34ホーマー。センターのベルトランは平凡な成績に終わったが来季は上積みが期待出来るだろう。しかし、その他のポジショ ンはまともな選手さえいない状態である。
 そんな中、ファーストにはマーリンズからカルロス・デルガドをトレードで獲得。3割40本120打点は期待出来る左の強打者だ。故障がちだが長期欠場は しないので最低でも30本100打点は計算してもいいだろう。ライトにコンバート後はチームに不満があってか成績が悪くなったキャメロンこそパドレスに放 出したものの、充分に強力な打線に生まれ変わった。ピアッツァがいるため大物捕手を獲得出来ないでいたが、彼がFAで去ることになり、財政難のマーリンズ から棚ボタでロデューカを獲得。城島こそマリナーズにさらわれたが、彼よりずっと計算出来る捕手を獲得した。こうなると穴は本当にライトとセカンドだけに なった。セカンドは来季もカイロと松井稼の併用の予定。松井は契約最終年であり、成績が悪ければ途中解雇も充分にありえるだけ にまさに正念場か。
 あとは内紛さえなければ、ブレーブスに遅れを取る陣容ではないのだが、さてはて。
フロリダ・マーリンズ
チーム総年俸が6500万ドルから4000万ドルに削減されることが発覚、四番で三割30本100打点のデルガド、エースの ベケット、ストッパーのモタ、サードで30本打てるローウェル、オールスター捕手のロデューカ、オールスター二塁手のカスティーヨ、センターで一番打者の ピエールをトレードで放出。FAのバーネットとは交渉さえしなかった。
 デルガド、モタとローウェルは今期故障していた上に30歳以上だが、ベケットはまだ24歳と若いことを考えると疑問が残る。代わりに獲得したうち、メ ジャーにいたのはマイク・ジェイコブスのみ。デルガドの代わりに一塁を守るが今季は100打席で10本塁打。来季レギュラーとなれば30本も期待出来る が、全体的には厳しいシーズンとなりそうだ。

ナ・リーグ 中地区
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ナ・リーグ 西地区
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